雌岡山(めっこさん)は女牛から
神出の東方にある二つの山は西の方から眺めると、二つのコブのように見えます。 海上から眺めても、可愛らしい子牛の角(つの)のように見えます。 昔、むかし、海上の猟師たちもこの山を見て、帰りの方向を定めていました。
昔は、子牛のことを「ベゴ」と言いましたから、この二つの山に男牛(おご)、女牛(めご)とつけました。 向かって右にあるほうを男牛山、左側を女牛山としました。
西暦700年ごろになると、大陸から多くの文化がやって来ました。 このころには漢字という文字が、広く使われるようになっておりましたので、それまでの王様に天皇の名前をつけました。 神様にも名前をつけました。
男牛山・女牛山から雄岡山・雌岡山への転進
男牛山(おごさん)、女牛山(めごさん)は言いにくいので「っ」といれて「おっごさん」、「めっごさん」と言いましたが、またまた、言葉ににごりが出ていて言いにくいので、だんだんと「おっこさん」、「めっこさん」と言うようになりました。 そして、発音の通り漢字が割り振られて「雄岡山」、「雌岡山」と書くようになりました。 今の漢字で雄岡山(おっこさん)、そして雌岡山(めっこさん)となるまで永い年月がかかりました。 いつから、このようになったのか、分かっていません。
金棒池(かなぼういけ)の伝説
雄岡山(おっこさん)と雌岡山(めっこさん)の谷間に金棒池(かなぼういけ)という大きな池があります。 池の中に二つの島があります。 むかし、むかし、海の向こうから巨人がやって来て、遠くから二つの山を見つけました。 子牛の角のような可愛らしい2つの山を見て、自分の庭におきたいと思いました。
のっし、のっしと歩いてきた巨人は、持っていた金棒を山の横っ腹に、ぶすりぶすりと突き刺しました。 金棒の下に肩を入れ、二つの山をかついで帰ろうとしましたが、山はびくともしませんでした。 巨人はありったけの力を込めて、山を持ち上げました。 その時、太い金棒がポキリと折れて、金棒がドシンと地面に落ちました。 落ちた地面がへこんで、池になりました。 巨人の足型が島として残りました。
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雌岡山(めっこさん)の高さは
昔の書物の中では、「高い方が雄岡山」、低い方が「雌岡山」となっています。 しかしながら、事実はこの逆なのです。 雄岡山は標高241メートルで、雌岡山は標高249メータです。